「ふぅ・・・やっと買い物終わったね」
そう言いながら沢山の荷物を両手に持っているのはマリアとメグだった。
「結構パーティーってやるの大変ねー」
重い荷物を持っているが、メグは微笑んでいる。
「って・・・なんでアリアは持っていないの?」
マリアが少し立腹をしているのは、アリアがかなり楽そうに持っているからである。
アリアは杖で少量の荷物を浮かせ、普通に歩いている。
辺りの人たちは、不思議そうにその光景を見ていた。
「あら、魔法よ?どう、こんなこともできるの」
そう言うと、アリアは杖を動かす。
すると、荷物は杖の動いたとおりに動くではないか。
「おおッ!」
周りの人たちから歓喜の声が湧く。
「別にそんなものを見たいんじゃないの!なんでそんな少し持たないの!
っていうか魔法使えるなら私たちの分を持ってくれたっていいじゃない!?」
そう言うと、アリアは少し黙ってしまった。
しかし、10秒ほどの間が経過すると、アリア眼鏡を上げ、一気に喋りだした。
「親しき友にも礼儀有りって言葉知らないのかしら?
全部私に持たせるですって?妹だから持ってあげてもいいけれど、別の奴がそんなことを言ったら殺してやるわ!
しかもこの魔法には魔力が必要だから、こんなことをしている時にも魔力は消費されているの。分かった?
・・・ま、そんなに持って欲しければウサミミ写真とネコミミ写真をよこしなさい!」
「あー、はいはい。分かった分かった。
じゃあそれだけでいいよ。メグ早く行こう。」
マリアが「やれやれ」と呆れたように言うと、メグは物珍しそうにマリアとアリアを見ながら
「うん」
と返事をし、また歩き出した。



「あー、自分を呪いたい」
そう言ったのはシロンである。
「愚痴愚痴言うなよ、男だろ?」
ため息をつきながらてきぱきと手を動かしているのはグリードーだった。
「男 男 男 。
全部男で丸めんなよ。いいよな、お前は戦場の男で。」
少し羨ましそうな目でシロンはグリードーを見た。
「お前に褒められたってちっとも嬉かねぇな。」
気持ち悪い、と顔でグリードーがシロンに訴えている。
「お前と一緒にいると汗かくわ...」
そう言うとグリードーは机にあった酒を飲みだす。
「なぁ・・・お前とカノンってできてんの?」
唐突だった。
グリードーは自分の飲んでいた酒を思いっきり吹く。
「な...な...」
先ほどよりも沢山の汗をかいている様子だった。
「おめー、分かりやすいな」
そう言うとシロンもさりげなく酒を飲み始める。
「おいテメェ!なに俺の酒飲んじゃってんだよ!」
先ほどのこともあるのだろうか、かなりキレているグリードー
「いいだろ、狭い心の奴だな、そんなこと言ってると彼女に嫌われるぞ」
酒を飲みながらにやにやしているシロン
「てめえっ!」
グリードーは自分の巨体をシロンにぶつける。
「何すんだよ気持ち悪りぃ!」
シロンもそう言いながら、グリードーを自分の拳で殴る。
そして、二人の取っ組み合いが始まったときだった。
ガチャ...
ドアを開ける音がしたが、二人の激しい戦いの音に紛れ、無音同様となってしまった。
「あ...」
かなり小さく呟いたつもりだが、二人はその声に反応した。
ドアノブを握ったまま、ぼーっと突っ立っているのはカノンであった。
そしてカノンは顔を真っ青にし、二匹を指差す。
そして、二匹とも自分を見る。

絡まる足 握り合う手 キスしてしまいそうな距離まで近づいている顔

二人とも吐き気がし、すぐに手を離し
「いや!誤解だ!」
と言った。その言葉が見事にハモる。
「...邪魔でしたかすみません」
いつになく冷静な顔でそういうと、ドアを強く閉めた。
二匹の顔は青ざめた。



ディーノの家の廊下は、とても長い。
イルミネーションで家の中中が飾られ、クリスマスツリーが沢山。
その廊下を、全速力で走っている女がいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
長いツインテールを靡かせながら、大泣きしている。
「え...!?カノンどうした...」
ビュオァァァァァァァァァァァァァン!
私の横を何かが物凄いスピードで通過していった。
「の...」
言葉が途中で止まってしまった・
メグも口を開け、唖然していたが、アリアだけは違う。
目を輝かせ、「このときを待っていました」と言わんばかりに、カメラを取り出す。
「クリスマスに激写!まさかの××関係!?」
そう言いながら走っているカノンの後姿を連続撮りする。
その見慣れてしまった光景にメグもマリアも呆然としている。
「あっ!メグ〜!」
泣いているカノンと入れ違いになるように、シュウがこちらに手を振りながら向かってきていた。
「あっ!シュウ!下見ないと転ぶ...」
そういった時には、もう遅かった。
赤い絨毯は乱れてしまっている。
「あーあ、駄目だこりゃ。」
疲れ果てたかのように、マリアは溜息をついた。



「うーたん!見てみ!雪だよっ★」
そう言いながら子供のようにはしゃいでいるのはリーオンだった。
尻尾を振っている。
(あいつ、絶対喜んでるな...)
ウォルフィーは笑いそうなのを堪えた。
「ほらほら!早く雪玉つくろーよ♪」
「は?雪玉?」
雪玉って...雪玉は雪合戦のときに使うものである。
それを作るって...戦う気満々じゃないか。
リーオンは戦いをあまり好まない。しかし好戦的になってきたとは...
自分の子供が成長したかのように、ウオルフィーの心の中は喜びで満ちる。
「ねぇねぇ、つくろーよ!雪玉!」
「ああ!」
かなり先ほどとは態度を変えたウォルフィーに、リーオンは少し疑問を持つ。
(いつもは面倒くさそうにやるのに...うーたんもしかして俺のことが...)

「って...雪だるまかよ!?」
情けない声でそう言ったのはウォルフィーである。
「雪だま...雪だま...雪だるま...」
嘘だろ...
ウォルフィーは何かに裏切られたかのように、絶望感に浸っていた。
「どうしたの?うーたん。早く雪だま作ろうよ」
「作るか馬鹿野郎!」
ウォルフィーは本気でリーオンを殴ろうとしたが、それができなかった。
リーオンが女みたいな態度をとるのだ。
「嫌だわうーたんさん。殴らないでください...」
気持ち悪くて仕方がない。
いつからこいつはこんなものに興味を持つようになったのだろうか。
「っていうかなんで雪だまから雪だるまになるんだよ...」
なんとか誤魔化そうと、心の中で渦巻いていた疑問をリーオンにぶつけた。
「え?だって雪だるまって雪だま二つで雪だるまじゃん?
だから雪だま+雪だま=雪だるまなんじゃないのかなぁって」
勝手に新しい公式作るな
そうツッコミたかったが、ウォルフィーは身体が疲れ果て、何も言い返すことができなかった。